日本マンガ学会第13回大会:シンポジウム「マンガとアジア」第1部

MANGAが女性化する!?―フィリピンを中心として

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日時:2013年7月7日(日)10:30~12:30

会場:北九州市小倉駅前 あるあるcity 7階 あるあるYY劇場

 

シンポジウム発表テーマ詳細…女性MANGA研究プロジェクトより

(こちらは会場で配布されたプリントとほぼ同じ内容だと思います。)

 

通訳:濱野健(北九州市立大学非常勤講師) 

コメンテーター:えすとえむ(マンガ家) 

司会:大城房美(筑紫女学園大学教授)

 

パネリスト1:チェンチュア・カールイアン・ウイ(アテネオ・デ・マニラ大学准教授 日本研究家・歴史学研究科)

彼女たちはどこまで行ったか:フィリピンにおける『コミックス』の女性作家たち

…フィリピンのマンガの歴史

男性作家主流だったのが1990年以降女性作家、女性編集者、女性スタッフも増えていく。海外からのコミックスも。売り場も新聞売店など限られていたのが広がっていく。読者の評判がいいコミックスは映像化映画化していく。2000年以降

コミコンが開催され(夏・冬)同人誌も増えている。

 

パネリスト2:エース・ヴィタンコル(クリエイティブ・ディレクター/作家 アルチュリャ・ヒール出版社)

メイキング・オブ・LOVE IS IN THE BAG

…大ヒット作『LOVE IS IN THE BAG』(2008~)の作者による製作秘話。

この作品は、女子高校生のケイトがひとめぼれをした男子高校生カルヴィンになかなか告白できずにたびたびカバンに変身してしまうシーンが描かれるというラブコメディ。恋愛と友情が描かれる。英語の「IN THE BAG」は「恋に落ちる」と言う意味がある。詳細なキャラクター設定、対照的なカップルや脇を複数のキャラクターが彩り、男子バスケ、料理対決など内容も盛りだくさん。製作スタッフは全員男性で読者は10代を想定。初めは軽いラブコメだったがシリアスなシーンも描かれるようになっている。続きが気になりモヤモヤすることからフェイスブックで読者が先のストーリーを投稿しあう現象が起きている。

 

 えすとえむさんは「まさかのバッグ!画面のインパクトが強い。」と展開の意外性を指摘。司会の大城房美さんからも「あまりかわいくない銀行強盗が持っているようなバック。」と突っ込みがw 作者のエースさんから「お母さんの古いカバンをイメージしている。読者からもどうしてと言う声があり、お父さんは写真立てになるという設定にしている。」「そういう体質の家系??」とシチュエーションに話題が集中しました。

会場前ではコミックスの販売も。

 

パネリスト3:トリシア・アビゲイル・サントス・フェルミン(大阪大学大学院人間科学研究科/「BLコンヴェンションBlush」オーガナイザー)

(主に)女性のファンタジーと快楽のための安全なスペースを創り出す

―マニラにおけるやおい・BLのファン・コンベンションを事例として―

…具体的な今のフィリピンでのイベントの現状などについて。

フィリピンではポルノグラフィーは法律上禁止。

自発的なファンの集まりから徐々に拡大し、それでも約300人の参加。他の東南アジアの国からの参加も歓迎。

  • イベントの企画維持

会場、スポンサー探しの困難。申し込みは選考制を採用。BLへの理解度(カップリング、読んだもの、持っているもの)がある人。人数制限。入場料一般的なイベントより高めに設定。

  • イベントの内容

テーマを決めたイベント。

上映会。BL作品の持ちより。(商業本を見たことのない人もいる。イベント時の様子のスライドには、えすとえむ先生のコミックス『作品ナンバー20』も映っていて、先生ご自身が「あ、わたしの本もある。」と発言される一幕も。)執事カフェ。コスプレ。コンテスト。コンベンション。

  

 えすとえむさんからのコメント:スペインのコミコンに行った時、共有するものがある人同士の初対面でも話が盛り上がる場面を目の当たりにした。というようなお話し。

 規制のある中、フィリピンでのイベントの熱さも場所は違っても根っこのところは全く同じと感じました。 

 

パネリスト4:長池一美(大分大学国際教育研究センター 准教授)

アジアの腐女子・腐男子:BL研究におけるジェンダー・セクシュアリティーの言説

腐男子によるBL活動、サークル「BLACK MONKY」の紹介。

腐男子研究、吉本たいまつ 同人誌「腐男子にきく」の紹介。

理想の男性性、生きにくさ、救い、規範へのジレンマ。

フィリピン、インドネシアで活動するBL作家には作家名を日本名にしている人も。

 うまくまとめられませんでしたが、とてもデリケートな分野だと思います。